ザ・ジャム(The Jam) カーネーション(Carnation)
ポール・ウェラー率いるザ・ジャムの、6枚目にして最後のスタジオアルバムとなった「THE GIFT」(1982)に収録。
バンド唯一の全英チャート1位を獲得し、最も成功したアルバムのひとつとなりました。
この「Carnation」は、1999年のトリビュートアルバム「FIRE & SKILL THE SONGS OF THE JAM」にて、オアシスのリアムとオーシャンカラーシーンのスティーヴによってカバーされた曲としても有名ですよね。
それでは早速、独自に深読み・構築したストーリーを基にした、和訳と日本語詞をご紹介します!
歌詞と和訳
歌詞の解釈に関しては次項で行いますので、まずは歌詞と和訳をご覧ください。
If you gave me a fresh carnation
もしお前が俺に咲いたばかりのカーネーションをくれても
I would only crush its tender petals
俺はその柔らかな花びらを砕くだけだろう
With me you’ll have no escape
俺と居ると、お前に逃げる術は無いだろう
At the same time there’ll be nowhere to settle
それと同時に、落ち着く場所など何処にも無いだろう
I trample down all life in my wake
俺の背後にある命の全てを踏みにじるのさ
I eat it up and take the cake
そいつを食い尽くし、頂点に立つんだ
I just avert my eyes to the pain
ただ目を逸らすだけさ、
Of someone’s loss helping my gain
俺に利益をもたらす、誰かの損失による痛みなんて
If you gave me a dream for my pocket
もしお前が俺のポケットに夢を突っ込んだところで
You’d be plugging in the wrong socket
間違ったソケットにプラグを挿しているようなものさ
With me there’s no room for the future
俺と居ると、未来のための場所なんて何も無い
With me there’s no room with a view at all
俺と居ると、展望なんて何も無い
I am out of season all year ‘round
俺はずっと季節の外にいる
Hear machinery roar to my empty sound
俺の空っぽな音に響く機械の轟音を聞け
Touch my heart and feel winter
俺の心に触れて冬を感じろ
Hold my hand and be doomed forever
俺の手を握って永遠に破滅の運命を辿れ
If you gave me a fresh carnation
もしお前が僕に咲いたばかりのカーネーションをくれても
I would only crush its tender petals
俺はその柔らかな花びらを砕くだけだろう
With me you’ll have no escape
俺と居ると、お前に逃げる術は無いだろう
At the same time there’ll be nowhere to settle
それと同時に、落ち着く場所など何処にも無いだろう
If you’re wondering by now who I am
もし今になって俺が一体誰なのか疑問に思っているのなら
Look no further than the mirror
鏡を見るだけでいいんだ
Because I am the greed and fear
なぜなら俺こそがお前に潜む強欲と恐怖、
And every ounce of hate in you
そして憎しみの全てそのものだからだ
和訳解説~歌詞の深読みとストーリー
ポール・ウェラーは、「Carnation」誕生の背景をインタビューでこう語っています。
「あの曲で表現しようとしたのは、サッチャリズムに対する怒り、そして僕だけではなく多くの人が感じていた怒りなんだ。
サッチャー首相と当時の保守党は、労働者階級のコミュニティを解体しようとしていた。労働組合への攻撃、小規模企業の消失、そしてイギリスでの生活の多くの側面が、人々から閉ざされていることに対するフラストレーションや絶望を反映しようとしていたんだ。
持ち家を買ったり、住宅ローンを組んで一生借金漬けになる事で、誰もが突然中間層になれるという、偽りの見栄があった。
僕は「A Town Called Malice」に登場する郊外のイメージが好きなんだ。使用されなくなった牛乳配達トラックがずらりと並んでいる様子や、生協のお店。
それらが絶対に真実かどうかは重要じゃない。僕が見ていたことの比喩として存在しているんだ。」
いやー、単なる鬼畜の所業なのかと焦りましたが、この激しい内容に至った理由が、ちゃんとあったのですね(笑)。
今回の和訳は、この証言を踏まえて考えてみました。
※このサイトでは、脈絡を持った和訳となるように、歌詞の裏にある意図を深読みし、ストーリーを構築させる事も目的としています。
まずは、ストーリー構築のポイントとなった、英語詞と日本語訳を解説していきます。
せっかく貰ったカーネーションを、すぐに握り潰すような冷血な主人公を目の当たりにして、拘束されているのか恐怖で足が動かないのか、とにかくその場を離れられずにいる相手が居る、という描写と解釈しました。
・I trample down all life in my wake~Of someone’s loss helping my gain→「私は自分の行く先々で全ての命を踏みつける 私はそれを食い尽くしケーキを奪う 私はただ痛みから目をそらすだけだ 他人の損失が自分の利益になる」と直訳されます。
自分の欲望の成就のために、他者を犠牲にする冷酷な姿勢を表現していると捉え、「自分の行動がたくさんの人々に危害や損失をもたらすことを分かっていながら、それを気付かぬフリをしてでも自分の利益だけを追求し尽くすんだ」と解釈しました。
・If you gave me a dream for my pocket~With me there’s no room with a view at all→「もしあなたが私のポケットに夢をくれたとしても それは間違ったソケットにプラグを差し込むようなもの 私と一緒にいると未来への余地はありません 私と一緒にいると見晴らしのいい場所はありません」と直訳されます。
未来に夢や希望を持てない「絶望」を表していると捉え、「夢を与えられても、自分にはそれを受け入れる余地がなく、むしろお門違いな提案だと思っていて、明るい未来を過ごしている場所や景色なんて想像出来ない状態にある」と解釈しました。
・I am out of season all year ‘round~Hold my hand and be doomed forever→「私は一年中季節外れです 私の空虚な音への機械の轟音を聞いて 私の心に触れて冬を感じて 私の手を握って永遠に破滅して」と直訳されます。
冷えきった心情や孤独・空虚感などが描かれていると捉え、「季節を感じない位に世界に居場所がなく、空虚な心に無機質なものばかりが入り込んでくる。そんな風に、気持ちは冷めている上に絶望しか持っていない自分に触れると、同じ運命を辿る事になるぞ」と解釈しました。
・If you’re wondering by now who I am~And every ounce of hate in you→「もし今、私が誰か気になっているなら 鏡を越えて覗き込まなくてもいいのです なぜなら私はあなたの欲望と恐怖 そしてすべての憎しみそのものだからです」と直訳されます。
これまで語った非情で孤独な存在の正体は、誰の心にも潜んでいるネガティブな側面そのものだ、という結論と解釈しました。
先に書いたインタビュー内容通り、当時のサッチャー政権が労働者階級のコミュニティを分断し、中産階級化を押し付けようとしていたことに対する怒りと失望感を、ポール・ウェラーは表現しようとしたとされています。
ヨーロッパでは赤いカーネーションが、革命や戦争・社会主義を示すようになり、メーデーなどで使われる「労働争議のシンボル」となっていった事や、定かではありませんが、サッチャーが子供からもらったカーネーションを手に持っている写真があるとかないとか、それらの複合的な要因で、この曲にカーネーションというタイトルを選んだのかもしれませんね。
日本語詞を考え、歌ってみました
acocatriがいるアマチュアバンドマン界隈では、洋楽に自身で書いた日本語詞を乗せて、レパートリーとして歌っているミュージシャンが結構います。
そんな訳で今回、前項の和訳やストーリーを基に、自分の解釈で「CARNATION」のメロディに乗る日本語詞を考えて、それを歌ってみました。
もし、この日本語詞を自分もライブで歌いたい!なんて方がいらっしゃったら、是非ご活用頂きたいです!
手にした瞬間に握り潰した
ここを去る術を知らない
君は不安に震えるだけの人
目に映るものを全て
踏み台にしてきただけ
誰かが叫んでいた
絶望なんて知らんぷりでいい
僕に期待なんてしないでくれ
きっと裏切りを感じるだけ
何の希望も持てないし
何の希望も見えないだろ?
僕に四季は存在しない
感じないから移ろわない
触れるかい?凍った僕に
破滅を約束しよう
君がくれたカーネーション
手にした瞬間に握り潰した
ここを去る術を知らない
君は不安に震えるだけの人
僕の事を酷いなんて
思わないでくれよ
僕の正体は
君に潜む狂気の化身さ
まとめ
いかがだったでしょうか?イマイチ内容が理解出来ない洋楽の歌詞も、意味の繋がる解釈を取り入れストーリーを構築する事で、脈絡のある和訳が成立する事を、ご実感頂けたのではないでしょうか。
ストーリーを踏まえて書いた日本語詞も、和訳と読み比べてみると面白いですよ。是非やってみて下さい!
acocatri(アコカトリ)の音源があります。
歌詞に関して、このような解釈をする人間が、自分の音楽の中でどんな歌詞を書いているのか、是非、聴いてみて下さい!
音楽配信サービスのサイトはこちら
2ndミニアルバム「真鼓動」
https://linkco.re/SSGAf99a
1stミニアルバム「世界」
https://linkco.re/TRfAUYQ0
YouTubeでも視聴出来ます
「真鼓動」
「世界」