ベル・アンド・セバスチャン(Belle and Sebastian) ゲット・ミー・アウェイ・フロム・ヒア、アイム・ダイング(Get Me Away from Here, I’m Dying)
グラスゴーで結成されたベルセバの2枚目となるアルバム「If you’re feeling sinister(邦題:天使のため息)」(1996)に収録。
この作品は、ローリング・ストーン誌が選ぶ「1990年代のベスト・アルバム100」にて75位に選出。
スチュアート・マードックが「自身の最高傑作だ」と評すなど、自他ともに認める名作となりました。
それでは早速、独自に深読み・構築したストーリーを基にした、和訳と日本語詞をご紹介します!
歌詞と和訳
歌詞の解釈に関しては次項で行いますので、まずは歌詞と和訳をご覧ください。
Ooh! Get me away from here, I’m dying
ああ、ここから連れ出してくれ、死にそうなんだ
Play me a song to set me free
僕を自由にしてくれる歌をかけてくれ
Nobody writes them like they used to
もう誰も昔みたいな曲を書いてくれない
So it may as well be me
じゃあ僕が書くしかないだろう
Here on my own now after hours
仕事を終えて今ここでひとり
Here on my own now on a bus
バスに乗り今はひとり
Think of it this way
こんな事を考えてみて
You could either be successful or be us
君は成功者になるか、それとも僕らのようになるのか
With our winning smiles, and us
勝ち誇った笑顔と僕らと
With our catchy tunes, and us
キャッチーな曲と僕らと
Now we’re photogenic, You know
今や写真映えだってする僕らは、知っての通り
We don′t stand a chance
勝ち目はないんだよ
Oh, I’ll settle down with some old story
さて、古い物語にでも浸ってみようか
About a boy who’s just like me
僕にそっくりな少年の話さ
Thought there was love in everything and everyone
全てのものや全ての人に愛があるって信じていた
You′re so naive
君はなんて純粋なんだ
They always reach a sorry ending
彼らはいつだって哀れな結末を迎える
They always get it in the end
いつだって最後は痛い目に遭う
Still it was worth it as I turned the pages solemnly,
それでも粛々とページをめくる価値はあったよ
and then
それから…
With a winning smile, the boy
勝ち誇った笑顔と共に、少年は
With naivety succeeds
純粋なまま成功を収める
At the final moment, I cried
最後の瞬間、僕は泣いたよ
I always cry at endings
僕はいつも結末で泣くんだ
I always cry at endings
僕はいつも結末で泣くんだ
Oh, that wasn′t what I meant to say at all
あぁ、僕が言いたかったのはそういうことじゃないんだ
From where I’m sitting, rain
僕が座っている場所から雨が見え
Falling against the lonely tenement
孤独なアパートに打ちつけている
Has set my mind to wander
それは僕の心を彷徨わせた
Into the windows of my lovers
かつての恋人たちの窓の向こうへと
They never know unless I write
僕が書かない限り決して誰にも知られない
“This is no declaration
「これは宣言なんかじゃない、
I just thought I′d let you know, goodbye”
君に伝えておこうと思っただけなんだ、サヨナラを」
Said the hero in the story
物語の中でヒーローは語った
“It is mightier than swords
「それは剣よりも強い
I could kill you sure
確かに君を殺すことも出来た
But I could only make you cry with these words”
でも、私が出来たのは、言葉で君を泣かせることだけだった」
Cry with these words
その言葉に涙する
Cry with these words
その言葉に涙する
Cry with these words
その言葉に涙する
Oh, get me away, I’m dying
ああ、連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I′m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I’m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I′m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Oh, I’m dying
ああ、死にそうなんだ
Oh, I′m dying, yeah
ああ、死にそうなんだ、そう
Oh, I′m dying, yeah
ああ、死にそうなんだ、そう
Oh, get me away, I′m dying
ああ、連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I’m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I′m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Get me away, I’m dying
連れ出してくれ、死にそうなんだ
Oh, I′m dying
ああ、死にそうなんだ
Oh, I′m dying, yeah
ああ、死にそうなんだ、そう
和訳解説~歌詞の深読みとストーリー
ベルセバは、新設されたインディーズレーベル「ジープスター・レコード」の最初のアーティストとして契約し、レーベル第一弾アルバムとして「If you’re feeling sinister」はリリースされました。
当初、契約の条件として、シングルをリリースしない・プロモーションは一切やらない・プレス対応はしない・プレス写真に出ない、などの要求をベルセバ側はしていたそうです。
そういうマインドがこの歌詞の随所に反映されていて、ひねくれてるなぁと思いつつ(笑)、守りたい自分達の価値観が最初から明確にあったんだな、という事も分かり、とても興味深く和訳を行えました。
※このサイトでは、脈絡を持った和訳となるように、歌詞の裏にある意図を深読みし、ストーリーを構築させる事も目的としています。
まずは、ストーリー構築のポイントとなった、英語詞と日本語訳を解説していきます。
慢性疲労症候群を長年患っていたスチュアート・マードックは、それを克服し、自力で外出しバスに乗れるようになったそうです。その事がのちの創作に大きく影響したと、初期メンバーのスチュアート・デイヴィッドは語っています。
そういったマードックの状況や、レーベルとの契約前に「自分たちのやり方でやりたい・お金や名声に興味がない」と言い切ったマインドが、しっかりと反映された歌詞だなと感じました。
・With our winning smiles, and us~We don′t stand a chance→「勝ち誇った笑顔と私たち キャッチーな曲と私たち 今や私たちは写真映えする 分かるでしょう 私たちには勝ち目なんてない」と直訳されます。
これも、多額の契約金を貰うかわりにメジャーレーベルの言いなりになるなんて興味がない、というマードックの思想が反映された歌詞と感じます。
メジャーに言われた通りキャッチーに飾っても、好きにやれている今の自分たちの満足感には到底かなわない、といったところでしょうか。
・Oh, I’ll settle down with some old story~Still it was worth it as I turned the pages solemnly,and then→「ああ、私はある古い物語に落ち着くだろう 私とそっくりな少年についての 全てのものと全ての人の中に愛があると信じていた 君はなんて純真なんだ 彼らはいつも悲しい結末を迎える 彼らはいつも最後には痛い目に遭う それでも私が厳かにページをめくる価値はあった そして」と直訳されます。
こちらも前段同様、キャッチーに飾ったバンドと自分たちとの対比かな、と捉えました。
「音楽とメンバーは愛に溢れていて、それを常に信じているから、メジャーの言いなりの環境になんか行かないし、メジャーに毒されたバンドの哀れな末路も知っている。それが分かったから良かったよ」という内容と解釈しています。
・With a winning smile, the boy~I always cry at endings→「勝ち誇った笑顔と、その少年 純真さによって成功する 最後の瞬間、私は泣いた 私はいつも結末で泣く 私はいつも結末で泣く」と直訳されます。
これも前段の続きであり、「With our winning smiles~」との対比でもあると捉えています。
強要されていない、心からの笑顔を見せられるほど、自由に音楽が出来る契約を結んだ僕たちは勝者だ、といったニュアンスでしょうか。
マードック自身が泣いたのかは分かりません。泣き上戸のメンバーがいるのかもしれませんね(笑)。
・Oh, that wasn′t what I meant to say at all~I just thought I′d let you know, goodbye→「ああ、それは全く私が言いたかったことではなかった 私の座っている場所から、雨が 孤独なアパートに降りそそぎ 私の心を彷徨わせた 恋人たちの窓の中へと 彼らは私が書かなければ決して知る事はない 『これは宣言ではない ただ伝えようと思ったんだ、さよならを』」と直訳されます。
このヴァースがいちばん解釈が難しい!それまでの歌詞と、どうしてこうも方向転換したのでしょうか…。
マードックが語った「僕は普通の人々の普通の様子を書きたいと思ってた。それは僕が普通じゃなかったから。普通が魅力的だったんだ。」といった内容から捉えて、「僕が歌詞にして言いたい事は、雨の日にひとりで思いをめぐらせるような事で、例えば部屋で過ごす恋人たちの様子などなんだ。もしかすると別れ話をしているかもしれない。そんな想像を僕がしているなんて、作品にしないと誰にも知られないよね。」という解釈にしようと決めました(笑)。
・Said the hero in the story~Cry with these words→「物語の中の主人公が言った 『これは剣よりも強い 確かに君を殺すこともできた しかし私が出来たのはこれらの言葉で君を泣かせることだけだ』 これらの言葉で泣かせる これらの言葉で泣かせる これらの言葉で泣かせる」と直訳されます。
これは「ペンは剣よりも強し」ということわざにかけた歌詞と捉え、「自分の歌詞は人を傷つけるものではなく、感動させるものにするんだ」という、ある種宣言ともいえるような内容にしたのではないかと解釈しました。
・Oh, get me away, I’m dying~Oh, I′m dying, yeah→タイトルの繰り返しですが、前段の「殺さない」と「死にそうだ」の対比が面白いと感じました。
もしかしたら、ここでの「I」は自分ではなく、自由を奪われた人(=メジャー契約をしたバンド)なのかもしれませんね。
この言葉通り、自分たちの表現したい事に妥協はしない、という姿勢が歌詞にも色濃く反映されていますよね。
日本語詞を考え、歌ってみました
acocatriがいるアマチュアバンドマン界隈では、洋楽に自身で書いた日本語詞を乗せて、レパートリーとして歌っているミュージシャンが結構います。
そんな訳で今回、前項の和訳やストーリーを基に、自分の解釈で「GET ME AWAY FROM HERE, I’M DYING」のメロディに乗る日本語詞を考えて、それを歌ってみました。
もし、この日本語詞を自分もライブで歌いたい!なんて方がいらっしゃったら、是非ご活用頂きたいです!
その原因は居心地の悪いこの世界にあるはずで
成功こそが正義だっていう歌ばかり聴こえてきて
僕を哀れみの対象に分類した
その正義に便乗して
使命感は隠して
精一杯の表現をしても
世界は普段のまま
世の中は愛で出来ていると信じた少年が
絶望して完結するっていう小説の
最後のページをめくってわずかに感じた香りが
絶望に隠された希望を運んできたようだった
たぶん彼は笑ったまま
たぶん信じたまま
理想の正義を手にする
そんな最後にして
それで泣きたいんだ
現実の僕はといえば相変わらず独りで
窓の外の雨を眺めていて
その雨音に似合う歌詞を書いては
君に届けたいと願うんだ
そうでもしないと君に伝えられそうにない
僕は強がったまま
ナイフなんか使わずに
君のために歌って
君を泣かせるんだろう
泣いているのは
君だけだろう
それでいいんだ
世界は相変わらず
僕と分かりあえない
世界は相変わらず
僕と分かりあえない
教えてよ
誰でもいいんだ
誰でもいいんだ
世界は相変わらず
僕と分かりあえない
世界は相変わらず
僕と分かりあえない
教えてよ
誰でもいいんだ
まとめ
いかがだったでしょうか?イマイチ内容が理解出来ない洋楽の歌詞も、意味の繋がる解釈を取り入れストーリーを構築する事で、脈絡のある和訳が成立する事を、ご実感頂けたのではないでしょうか。
ストーリーを踏まえて書いた日本語詞も、和訳と読み比べてみると面白いですよ。是非やってみて下さい!
acocatri(アコカトリ)の音源があります。
歌詞に関して、このような解釈をする人間が、自分の音楽の中でどんな歌詞を書いているのか、是非、聴いてみて下さい!
音楽配信サービスのサイトはこちら
2ndミニアルバム「真鼓動」
https://linkco.re/SSGAf99a
1stミニアルバム「世界」
https://linkco.re/TRfAUYQ0
YouTubeでも視聴出来ます
「真鼓動」
「世界」